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ライトノベル「なれる!SE」のヒロイン「室見立華」と、主人公「桜坂工兵」のストーリーを読んでいて、あることを思い出しました。
それは、家出少女を保護したことです。
当時わたしは21歳、少女は高校3年生で17歳でした。なぜこの時のことを思い出したのかは、「なれる!SE」第11巻を読むとわかります。ヒロイン「室見立華」の年齢は?↓
家出少女は突然あらわれた
社会人になって高校時代の友人とふたりでマンションの一室を借りていた時期がありました。友人の転勤で、その生活は1年も持たなかったのですが、一生の思い出になるように事件がおきたのです。
友人が夜勤で不在の夜のこと
友人が夜勤で不在の夜8時ごろ、インターフォンが鳴り出てみると、女性が玄関にいたのです。見知らぬ女性だったので、友人の知り合いだと想いました。
たしかに、いるけど。聞いてないし・・・
とはいえ、夜遅く行き場のない女性を放り出すわけにもいかず、部屋に入れて話しを聞くことにしました。
玄関先で出会った彼女は、おシャレして化粧もしていたのでてっきり成人している女性だと思っていました。が、家にあげたあと、年齢を聞くと高校3年生! 17歳の少女だったのです、さすがに慌てて声がでませんでした・・。
家出少女を泊めたら罪になるのか?
先日、インターネットで知り合った女子生徒を家に泊めた男性が「未成年者誘拐」の疑いで逮捕されたというニュースをみました。
少女の「誰か泊めて」というTwitterに「着替えを買ってあげるよ」と言ったことが、未成年者を誘惑したとして誘拐罪が成立したのだそうです。
たとえ本人の意思で家出したとしても、食事や物で誘惑して家に泊めると未成年者誘拐罪(刑法224条)が成立します。未成年者誘拐罪は、3ヶ月以上7年以下の懲役に処せられます。
わたしの場合は、彼女の安全を守ろうと、親切心で家に入れたのですが少し間違えると逮捕されていたかもしれません。
友人は、その夜は夜勤で不在です。わたしになんの連絡もなく、勝手に泊めることにしたようです。いい奴なのか、勝手な奴なのか・・?
家出の理由
玄関先で立ち話をしているわけにもいかず、とりあえず家にあげることにして事情を聞くことにしました。
話しを聞くと家庭にいろいろ問題があるようで、両親が離婚し父方の祖父母に育てられていたそうです。ところが、祖母との相性が悪く、ケンカが耐えなかったそうです。
ついに、我慢ができず思わず家を出たが、行く当てもなかったので高校にOB訪問で知り合った友人を頼って連絡したそうです。
そんな話しを、九州で暮らしている母親からもらった扇子を見せながら話しをしてくれました。「お母さん大好き・会いたい・・」という気持ちが伝わってきました。
友人からようやく電話で連絡が・・
話しをしている途中で、電話が鳴りました。夜勤にでかけている友人からです。
って、おい!
ということで、17歳の家出少女を一晩泊めることになってしまいました・・。
ご近所さんに事情をはなしてみた
見知らぬ若い男女が同じ部屋で一晩暮らす・・!?
さりげない顔で、彼女の話しを聞きながら、どうすればいいのか途方にくれていたときでした。ピンポンと呼び鈴が鳴り、近所のお兄さんが遊びにきました。
事情が事情なので、帰ってもらおうかと思ったのですが、信頼できる人なので一緒に彼女の話しを聞いてもらって、いっしょに対策を考えてもらう事にしました。
後日談になりますが、少女は、近所のおじちゃん・おばちゃんから、とっても可愛がってもらえたのです。仲良くなってからは、ひとりで近所に遊びに行くようになりました。
とはいえ、その日はお泊りさせて、翌日からしばらく男二人の家で寝泊まりすることになったのです。
家出少女を連れて社員旅行に参加!?
彼女が来たその週末、わたしの会社で旅行がありました。会社の仲間が集まって、いっしょにハイキングするというものです。
家出してから2・3日経っていたのですが、彼女は外出もせず、家の中でひとりさみしくしていたようでした。外の空気を吸わせてあげたいなと思い、「会社のハイキングあるけど、参加する?」って誘ってみました。
多分こないだろうなぁって思ってたんですが、「うん!」って即答。ビックリしました。
突然、女の子をつれて参加したので、同僚のみんなは驚いたのなんのって・・。浮いた話しのひとつもなかったわたしが、可愛い女の子しかも高校生をつれて旅行にきたのですから、驚かない方がおかしいですよね(笑)
家庭、夢、そしてこれからのこと・・。
会社の仕事仲間とはいえ、わたしたち同僚は若くてとても仲が良く、彼女にも優しく接してくれました。
そのせいか、旅の途中で自分のことを、ぽつりぽつりとしゃべり始めてくれました。親のこと、祖父母のこと、学校のこと、夢、そしてこれからのこと・・・。
初めて彼女の笑顔をみました。とっても可愛いらしく「守ってあげなきゃ」と、思わせるとっても素敵な笑顔でした。
学校・保護者公認の家出少女誕生!
1週間たっても、あいかわらず「高校やめて働く」という彼女に、わたしたちは、「あと数ヶ月だから、高校は卒業しなよ」と説得を続けました。
根気強く聞いていると、友達は大好きで、担任の先生を信頼していることがわかりました。本当は学校を、やめたくないのです。
わたしたちが取った行動は、
担任の先生に会いに行く
彼女は、わたしたちと同じ高校の後輩です。信頼しているという先生は、わたしたちが卒業後にきた教師ですが、彼女が信頼する先生です。悪いことにはならないはずだと思い、4年ぶりに学校を訪問することにしました。
担任の先生に、彼女が家出して男二人の家で匿っていることを説明したのですが、これまた奇跡がおきました。
「おばあさんから学校に家出の連絡があり、捜索願いをだす寸前だった。きみらなら安心できるから、わたしからおばあさんに連絡しておくよ」
と言ってくれたんです。
しかも、事情を聞いていた顔見知りの体育教師も、「この二人なら大丈夫!」と太鼓判を押してくれる始末です。卒業してから4年も経っているのに、感動しました。
ということで、とりあえず少女誘拐で、手が後ろに回るのを回避した瞬間でした。
なにせ、ふたりとも東証一部上場企業の社員ですから、新聞ネタになる可能性もあったわけですから・・。
先生方の神対応に感謝しました。
対決?家出少女とおばあさん
担任の先生と話しをして、ここに居場所ができたことを少女はすごく喜びました。けれど、いつ保護者のおばあさんに連れ戻されるかわからないことに不安を感じていたのです。
次の週末、おばあさんに会って「ここにいてもいいと認めてもらいにいこう」と提案したのですが、当然少女は嫌がりました。
無理に連れて行ってもしかたがないのですが、「友達に会いたい、学校に行きたい」という気持ちが強かったのか、説得に応じてくれました。
で、家出少女 vs おばあさん の対決とあいなったわけです。
途中、ふたりの間で言い合いにもなりましたが、最後はおばあさんが根負けしたようで、「好きなだけ、二人のところにいればいい!」と言ってくれました。くれたというより、言い放ったという言い方が正しいですが・・。
高校卒業までガンバレ!
いづれにしても、学校・保護者公認の家出です。男二人の家から、堂々と学校に通えるようになったのです。
食費も通学定期も、わたしたちが出してあげて、元気に学校に通い始めました。休日になると、彼女の友達が家に遊びにきたりして、とても元気になったのですが・・。
家出少女はバカでした・・
学校に通うようになって、すぐに中間テストが始まりました。が、赤点の数がハンパなく多かったのです。「勉強キライ」と言っていたので予想はしていましたが、予想以上でした。
家出少女は、バカでした・・
負けず嫌いがよかったのかな?
バカで赤点マニアの彼女でしたが、必死で勉強していました。みんなと高校卒業するんだと、本当に必死でした。
その後、数ヶ月して実家に帰ったのですが、試験勉強の期間は家にきて、泊まって勉強してました。
家出少女、家に帰る
男女3人の奇妙な生活が2ヶ月ほど続きました。まるでテレビドラマのような青春物語でしたが、物語にエンディングはあるのです。
悲しいできごとだったせいか、なぜ少女が実家に戻ることになったのか、だれが言い出したのか、全く記憶に残っていません。
別れの日、どんな顔をしていたのか、どういう場所で別れて見送ったのか・・。
全く覚えていないのです。
ですが、家出少女はいなくなり、平穏な男二人の生活に戻りました。
その後の家出少女
わたしたち男二人は、同居生活を解消し別々の生活を始めたのですが、
少女は無事、高校を卒業できました。
高校卒業後、わたしたちが住んでいた街に戻ってきて生活をしていたそうです。あの時の生活が、よほど楽しくて忘れられなかったのでしょうか?
その後、しばらく音沙汰がなかったのですが、ある日高校のOB同窓会案内が到着したのですが、なんと、OB同窓会幹事に家出少女の名前がのっていました。OB同窓会は全卒業生を集めた同窓会ですが、3年ほどその幹事を勤めていたようです。
家出するほど追い詰められていた彼女も、今では結婚し、優しい旦那とこどもに恵まれ、幸せな家庭を築いていると聞きました。
4歳年下の可愛かった女子高生も、ことしで50歳になるそうです。
そろそろ、会いに行ってもいいころかなぁ・・?
仕事を辞めて家出したいですか?
家出をしたことのないわたしは、家出するような子は”不良”だと思ってました。けど、彼女と暮らして考えが改まりました。
家出をする子は、わたしなんか比べものにならないくらい、悩み苦しみ、行き場を失っているのです。どこか知らない世界に、自分の居場所があるはずだと信じて行動するのです。
ですが、家を出てどこかに行っても、自分の居場所はみつかりません。
家出少女も結局は、家に戻って高校を卒業し、
元の場所でしっかり生きたから、幸せを掴めたんです。
仕事が辛い、仕事を辞めて家出をしたいとまで考えましたか?
辛ければ、仕事は辞めても大丈夫です。
もう一度この場所で生きていけないか じっくり考えてみませんか? 少女のように、幸せは必ずくるのですからね!