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IT業界に就職・転職しようとすると、友人知人から必ず反対されるはずです。IT業界にはブラック企業が多いという噂が都市伝説のように語られているからですが、あながちウソではないのです。
ライトノベル「なれる!SE」第7巻のサブタイトルは「目からウロコの?客先常駐術」です。この客先常駐が横行していることが、IT業界がブラック産業だと言われる理由なのです。
これからIT業界に入る人のために、ブラック企業に入らないように、その見分けかたをお話します。よく覚えておいてね。
常駐案件の全部がブラックだというわけではないが・
今回のストーリーは、作家で元SEの夏海公司さんが「なれる!SE」シリーズの1巻目のプロットとして書こうと思っていた内容だったのです。ところが、これを最初に書いてしまうと、ただのSE残酷物語・ホラー小説になってしまうということで封印されたエピソードでした。
常駐案件が悪役になっていますが、客先で仕事をする常駐案件が悪というわけではありません。
わたし自身も客先常駐は何度も経験しましたし、フリーランス時代は客先で作業するのがあたりまえでした。プロパーの人と信頼しあって、意見を言い合いながらシステムを開発する経験は、とても楽しいものでした。
なので、常駐案件自体が悪いというわけではありません。
ですが、一歩間違えると危険な現場であることは、経験上間違いありません。
小説なので、常駐案件の闇の部分を強調しすぎている感はありますが、「SEあるある」的なところもあります。
常駐案件にだされると・・幽霊になる
常駐案件とは、客先に出向いて開発作業をすることです。社員でありながら、何年も客先で作業をすることがあります。そのせいで、新入社員が入ってきても存在が認知されることはありません。
むかし先輩から「会社に電話してみな、新人がでたら『お世話になってます』って言われるから」って、本気か冗談かわからないことを言われました。
当時はわたしも常駐作業していたのですが、、本当でした・・・。客先で賢明に仕事をしているのに、まるで幽霊になったような気持になったことを覚えています。
常駐案件とは・・ひとやまいくらの商売?
常駐案件は、ひとり・ひと月いくらの商売です。能力によって価格は違いますが、技術者は物・商品として扱われます。どれだけ仕事をしようが、契約した価格は変更されません。
決められた時間、客先にいれば契約した金額が会社に支払われます。
「このSE優秀なので月80万円ね」
「優秀なSEひとりに、新人つけて100万でどう?」
そんな感じです。
マジヤバイのは、炎上中の常駐案件
炎上中の案件には、いくらお金を積まれても参加してはいけません。
炎上している案件は、赤字案件になることが多く予算がありません。敗戦処理なので、限られた人材・環境の下で作業をすることになります。なので、トラブル続きで24時間休みなく働くはめになってしまいます。人間が24時間休みなく緊張感が継続すると・・、当然おかしくなります。
離脱者がでて、ようやく新たな人材を投入するのですが、いくら優秀でも即戦力になるわけもなく、しばらくは他の人に負担がかかります。新人が戦力になるまで既存メンバーが耐えられればいいのですが・・。
ブラック企業を見分ける方法
炎上している現場には、そうそう出会わないですが、炎上案件は受注しやすく稼ぎやすいので、炎上案件ばかりを狙うブラックなIT企業も存在します。そんなブラック企業の社員になったら大変です。
IT業界に潜むブラック企業の見分けかたを覚えて、ブラック企業に近づかないようにしましょうね。
1.新入社員の配属先が顧客名って?
新入社員の配属先をホームページに掲載していたら、配属先を見てください。超有名な企業が配属先で並んでいると要注意です。入社早々、常駐案件の仕事をさせられているということですから、社内教育とかが全くないということです。
新人社員の配属先が顧客名ということは、派遣業が主体の会社なので、要注意ですね。
2.うちの会社はフリーアドレスって、実はやばい!
フリーアドレスっていうことは、決まった席がなくどこで仕事をしてもかまわないということです。おかしいと思いませんか?
社内に人がいないので、一時的に帰社している従業員の作業場所として使っているだけで、ほとんどの社員が外で作業をしている可能性が大です。常駐案件を主な仕事としている会社だと思って間違いなさそうです。
3.大手SIerの常駐案件には近寄らない!
有名な大手企業の仕事をするんだ。なんてワクワクしていると要注意です。大手SIerの社員の下で、ひたすら作業を任されます、振られます。いいプロジェクトマネージャーの下につけばいいのですが、悪いプロジェクトマネージャーの下だと悲惨な目に・・。
大手SIerの案件の中に派、小説で書かれていたような敗戦処理のような案件もあります。どの案件を担当させられるかは運しだいです。あなたが強運の持ち主ならいいのですが、危険な大手SIerの案件には近寄らないのが無難です。
4.厚生労働省のブラック企業リストをチェック
厚生労働省が毎月公開する「労働基準関係法令違反に係る公表事案」をみると、法令を無視して書類送検された企業が掲載されています。なかには、ブラック企業の代表になった電通の名前もあがっています。
このリストに掲載されている会社で働くのは、やめたほうが無難でしょうね。たとえ改善努力をしていても・・。
ブラック企業を見分ける眼をもて!
はっきり言って、ブラック企業かどうかなんて、働いてみないとわかりません。大きな会社になると、ほとんどの部署はホワイトだけど、配属された部署だけがブラックだった。なんてこともありえます。
自分が働いている会社や部門がブラックだと思ったら、つぎを探しにいきましょう。どこまで耐えられるかは個人によって違ます。壊れてからでは遅いですからね。
IT業界には、いろんな人の夢が集まっています。
いろんな人が、いろんな場所で、自分の夢をかなえるためにがんばっています。
IT業界は、コネや才能・お金がなくても、夢をかなえることができる職業です。