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SEになって初めて担当したシステムは「婚活システム」でした。もちろんシステム構築のお仕事ですよ。当時(30年前ですが)は、数千万もするコンピューターを使って、婚活システムを開発していたんです。
いまでこそ、楽天オーネットやツヴァイというサービスがありますが、その当時はまだ、「結婚紹介所」という対面相談が全盛の時代でした。
婚活システムの開発ノウハウなど、当時あるはずもなく、どこにもないシステムを0から作り上げるという、SEの醍醐味(?)を入社早々味わうことができたわけです。
結婚紹介所のおばちゃんたちの反発が・・?
結婚紹介所は、おばちゃんに結婚相手の希望を相談して、名簿の中からお相手を紹介してもらいます。結婚紹介所のおばちゃん次第で、お相手の善し悪しが決まるんです。
婚活システムを作るということは、おばちゃんたちの仕事をコンピュータが取ってしまうかもしれません。当然、おばちゃんから猛反発されるのを覚悟していました。
システム構築に協力的だったおばちゃんたち
ですが、意外とおばちゃんたちは協力的でした。理由を聞くと「だって良いお相手を紹介できるじゃない!」と言ってくれたんです。
システム構築はトップダウンで導入が決まることが多く、現場からの反発はよくあると聞いていたので、協力的なことにビックリしました。
他人の幸せを願うおばちゃんたちは女神様かも
システム打ち合わせをしていても、おあばちゃんたちは優しかったんです。さすが、他人の幸せを願う仕事ですよね。
「良いお相手を紹介して、すてきな家庭を築いて欲しい」と本心から願う人たちでした。まるで、女神様のようでした。
0からのシステム構築は楽ではなかった・・
今の婚活サービスの開発は、各社とも1980年代からスタートしていたようです。わたしが開発を任された時期に、各社が試行錯誤しながら開発を始めていたのですね。
インターネットがない時代でしたので、他社の状況など知るすべもなく。開発ノウハウをググることはできず、顧客と打ち合わせしながら知恵を絞って仕様を決めるしかありませんでした。
お相手紹介の仕組みは?
担当した会社の婚活サービス会員数は約5千人の男女でした。人手でお相手を探すのは難しくなってきていたようです。なので、コンピュータにお相手を選ばせる、婚活システムを作ろうと考えたんです。
その仕組みは、
1.まず、男女100人ずつグループをつくります。男女あわせて5千人なので、男女それぞれ25のグループができます。
2.データには、自分の情報と希望する相手の情報が50項目登録しています。
3.男女グループを1つ選び、100人全員の点数をつけます。希望にあえば1項目2点をつけて、合計点数を求めます。
4.合計点数の上位5人を紹介します。当時は、メールもないので、写真を添えて会員に郵送していました。
男女それぞれ25グループあったので、最低でも(25回x5名)は紹介できます。125人も紹介すれば、結婚できるはず?
お見合い相手を紹介するのに48時間!・・って
システムが完成しテスト段階に入りましたが、100人の男女グループから、最適な組み合わせを上位5人を選んでくれる。はずだったのですが・・。
プログラムが終わりません。走らしたまま帰宅し翌日出社しても、終わっていません。。終了するまで、なんと48時間かかりました。
10人ずつの小人数グループでテストした際は、きちんと動いていたのでプログラムに異常はないはずです。なのに、なぜ?
原因は、プログラム言語の問題でした。いろいろプログラムを書き直した結果、美しいプログラムを書くと処理速度が遅く、機械がわかるベタベタの長いプログラムに書き換えると早くなりました。
プログラムは間違っていないけど、チューニングのテクニックを経験して覚えていく。結局、SEは職人なんです。でもこれが、SEという仕事の面白いところです。
で、プログラムチューニングの結果、48時間の処理が2時間に短縮されて、お客様にも納得いただきました。
コンピュータの紹介で結婚したカップル誕生!
1年後、システムメンテナンスで訪問したさい、おばちゃまから「初めてカップルできたわよ!」と、嬉しい報告をもらいました。
「SEになってよかった」って、SEという仕事のやりがいを感じた瞬間でした。それから、35年たっても、その時の感動が忘れられません。いまだにSEやってます。
サラリーマンでSEをするメリットは?
大きな企業に勤めていると、大予算のプロジェクトに投入されます。今は、システム開発も細かく作業分担されて、歯車のような仕事が多いです。
サラリーマンだから経験できた婚活システム
大きな会社で歯車のようなSEをしていても、イロ物というか、たまにだれもやったことのない仕事が入ることがあります。
わたしが担当した婚活システムは、ある銀行グループの福利厚生の一環でした。グループ会社の社員同士に、結婚相手を紹介するサービスだったんです。
銀行と取引ができる大手企業だから受注できたシステムなんです。サラリーマンSEじゃなければ、婚活システムの開発経験なんてできなかったと思います。
むかし はね!
今 IT技術者になるなら大企業よりベンチャー企業
むかしは大企業のSEも、いろんなシステム開発を経験できたのですが、最近の大企業はマネージメントなどの管理業務ばかりです。
SEという仕事のやりがいは、いままでになかったシステムを作れることです。
ですがシステム開発は、大企業ではできません。いちばん面白いシステム開発という仕事は、下請け会社が担当しているのです。なので、おもしろいシステムを開発したいのなら、大企業と取引のある「ベンチャー企業」に入って サラリーマンSE になるのがおすすめです。