サービス開発すれば楽に儲けることができるのか?書評:なれる!SE(9)

毎月なにもしなくてもお金が入ってきたらウハウハだと思いませんか?

今回紹介するライトノベル「なれる!SE」第9巻は、IT業界のウハウハ物語りです。サブタイトルは「楽して儲かる?サービス開発

ほんとに、そんなウハウハ話、IT業界にあるんでしょうか?

生きるためには、競争に勝たないといけないこの社会。仕事も同じで、取った取られたと、喜んだり悔しがったり。 「なれるSE!」第8巻のテーマは...

IT業界がサービスをつくる理由とは?

ソフト開発はリスクが少ない

ソフトウェア業界は他の業界に比べて利益率の高い業界です。物販の売れない在庫を抱えるリスク、飲食の食材廃棄リスクのようなリスクはありません。

ソフトウェアの開発は、人とパソコンがあれば仕事になるので、在庫リスクや廃棄リスクとは無縁です

ところが、ソフトウェア開発は人材がリスクになります。優秀な人材を雇えればいいのですが、雇ってみるとありゃりゃという人だったり。優秀な人材がいても、仕事がないとお金にはなりません。仕事がなくてお給料は払わないといけません。どんな仕事にもリスクはあるのです。

開発者を遊ばせておくぐらいなら「サービスを開発させておけ」ということです。一発あたれば大きいですから。

仕事がない人材にサービスをつくらせてもねぇ・・

どんな不況でも、優秀な人材は仕事が入っていてい忙しいものです。なので、仕事がない人材はよくてそこそこ、悪いと使い物にならないのです。

余剰人員に「儲かるサービスを考えて開発しろ」といっても、ムリ!

成功したサービスとその後・・

サービスといわれてもピンとこないと思いますので、一例をあげてみます。

今人気のLINEはサービスの成功例

人気のSNSサービスLINEは、TwitterやFacebookの後にでてきたサービスですが、今や使っていない人はいないんじゃないかと思うくらいです。

LINEはその後、ゲーム・音楽・スタンプ販売など、次々と関連サービスを追加してきました。

サービス開発で大成功した唯一の企業じゃないでしょうか?

衰退したサービス mixi

すこし前まで、mixiというサービスがはやっていたのを覚えていますか?

女子高生の間ですごい勢いで広まっていたのですが、Twitterというサービスがでると、あっという間に衰退しました。まだサービスはつづけていますが・・。

mixiはスマホゲーム「モンスターストライク」というサービスを開発したことでなんとか復活しましたが、SNSサービスでの主導権は戻ってこないでしょうね。

マイクロソフトとアドビも月額サービスに!?

かっつてパソコンのソフトウェアは「売切り」型が主流でした。箱の中にソフトウェアのCDが入っていてパソコンにインストールする「パッケージ製品」と言われていました。

マイクロソフトのエクセルやワード、アドビのフォトショップやイラストレーターという製品もパッケージ製品として販売されていたのですが、最近、これらも月額で利用料を払うサービスになりました。

エクセルを利用するには、毎月お金を払ってください?

サービスは、電気や水道や電話など生活インフラと同じビジネスモデルなので、毎月決まったお金が入ってきます。

毎月いくら入ってくるかがわかるので、計画や予算がたてやすくなるので、安定した経営ができます。

なので、マイクロソフトやアドビという大企業のソフトウェアまで、月額課金のサービスに切り替わりました。

つまり、エクセルやワードが使いたければ「毎月お金を払ってください」ということです。

サービスをつくるのが難しい理由

マイクロソフトやアドビといった大企業でも、新しいサービスをつくっるのは難しいです。

エクセルやフォトショップなど、ビジネスでスタンダードになった自社ソフトを、売り切りのパッケージ型から、月額課金のサービス型に買えただけです。

マイクロソフトもアドビも、潤沢な予算でいろいろ新サービスを研究開発していますが、パッとしません聞きません。

なので、新しいサービスをつくるというのが、どんなに難しいことかわかりますよね。

サービスにお金払いますか?

使わないサービスに毎月お金を払わないでしょ

サービス、サービスっていってもいろいろあります。音楽聞き放題、映画見放題、雑誌読み放題、ゲームソフトのアイテム購入、オフィスアプリ利用料ななどなど。

サービスにお金を払おうと思うのは、格安だと感じたり、面白いとか、仕事に必要とか、使わないといけない理由が必要です。

サービス開発は「お金を払ってもいいと思わせるサービスが提供できるか」にかかっています。

サービス開発は主婦のアイデアグッズに近いかも

よくテレビで、主婦が「アイデアグッズで〇千万円稼いだ」なんて特集がくまれますが、サービス開発ってそれに近いのです。

アイデア主婦は、生活や家事をしながら「こんなのあったら便利なのに」と思ったアイデアを考えて、その膨大なアイデアの中からいくつかを製品にするのです。

けれど、すべてのアイデアグッズが売れるわけでもなく、膨大なアイデアから生まれたアイデアグッズの、そのなかの一部がヒットして大金が入ってくるというわけです。

サービス開発も同じことで、膨大なアイデアから選りすぐった一部をサービス化し、ヒットするサービスがでるまで繰り返さなければなりません。

製品開発は、主婦のアイデアグッズ開発の手法とまったく同じなんですね。あきらめずに知恵をだし開発し続けられるか。それが成功の秘訣なのです。

結論:楽して儲けるは夢物語・・だが

毎月固定でお金が入るサービスを作って「楽して儲けよう」と、ソフト開発会社は考えます。アイデアとだして、サービスを作るのは簡単です。

結局、作ったサービスが利用されるかどうかは、発売後でないとわかりません。欲しかったものがなかったとか、口コミで広まるとか、運的要素も必要なのです。

サービス開発は、「みんなが必要としているサービスはなにか」を真剣に考えて、ソフトウェアと開発し、停止しない環境を作って提供する。と同時に、広告や、口コミなど、運を自分で引き寄せるなど、膨大な努力と資金力が必要です。

サービス開発で「楽して儲ける」なんて発想は「夢物語り」です。

でも、TwitterやFacebook、古くはAppleやMicrosoftがそうであったように、真剣にビジネスすれば、数100万、数1000万のユーザーに利用されるサービスが開発できる可能性があります。

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